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ポッカリ空いた森の空
 ポッカリ空いた森の空

すくすくと成長中
 すくすくと成長中

セミの抜け殻は、夏の名残り
 セミの抜け殻は、夏の名残り

倒れた木からポツンと…
 倒れた木からポツンと…

さて、その木を眺めてみよう


まだ雪解けの森林を歩くと時々、天から淡い一筋の光りに出逢います。
光りを辿ってその足元を見つめると、ちいさなちいさな芽がポツン。
自分の生活を振り返る時、このちいさなちいさな芽の事を思います。


きっかけはごくごく小さくて、つい見のがしてしまうような事でも、じっくり見守っていると芽が育ちます。


このちいさなちいさな芽は、しばらくすると実生(みしょう)という木の赤ちゃんになります。この頃になると、大きくなろうとぐんぐんと栄養を貯え、太陽を求めてひょろひょろと上に上に伸び上がります。


稚樹(ちじゅ)と呼ばれる頃には高さも1mを越え、枝を広げて自分のスペースをつくり出し始めます。木が一生懸命生きる場所作りに励んでいるころです。時を同じくして、大きくなった時にちゃんと耐えれるように、地中にはしっかりと根を這わせていきます。実はこの上下のバランスが一番大切。木は地上にでた部分と、土中にある部分で絶妙なバランスをとりながら育っています。


数十年後、同じように育ってきた回りの木々との関係も決まり始めます。枝が触れあわないように、葉っぱが重なりあわないように生きる姿はまるで、共に生きる為に工夫しているかのようです。


さらに時を重ね 春夏秋冬を何十回・何百回・時には何千回という途方もない時間をかけてゆっくりゆっくり育ったころ、やがて大木や巨木と言われる木になります。その頃になると遠く離れたところからでも分かるほどの存在感で、その森林の主の様に回りの木々を従えて豊かな森林に育っていきます。大木は人間で言えばおじいちゃん。長く生きた記憶を、「この時期は、暖かかったな〜」とか「あの時は、寒かったし!」という感じで日記のように年輪に残しています。


豊かな森林には様々な生き物が集まってきます。木を住処(すみか)にする小さな虫達、その虫を食べる小鳥や昆虫、その昆虫や小鳥の食べ残しを小動物やトンビ・タカのような猛禽類と呼ばれる鳥が食べ、さらにその小動物を狙う動物へと。その連鎖は循環の輪を描いて、また木々の栄養になる迄繰り返されます。その循環は、長い月日をかけた“ゆっくり”としたものです。人間の目にはほとんど止まっている様な、“ゆっくり”とした動きでもあります。


木々にとっても寿命はあります。雨・風・雪など自然は優しい事ばかりではありません。時には根元から倒れ、時には幹の途中から折れることも。そんな木々も、やがて土に還りまた次代の栄養に生まれ変わります。木が倒れたあとは森林にポッカリと穴が空きます。天に小窓がついたようです。そこから差し込む光が、辺りとの成長のスピードを調整してくれます。


また光りを辿ってみましょう。
ちいさなちいさな芽がポツン。


新しい森林の始まりです。

さて、森林の事が少しお解り頂けたでしょうか?
森林を歩くとき、様々な立場を考えます。木の立場、動物の目線、葉っぱや木の芽、時には風の通り道を考えたり、水の意識になってみたり。そうやって森林を歩くと、楽しい発見がきっとあります。
さぁ、わたしたちと一緒に森林へ出かけましょう。
風や水のお話しはまたどこかで。

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